MARKET FAQ


知的財産権

日本の知的財産では、早期出願と権利内容の正確な設計が重要です。特許・商標の出願時期と優先権、冒認商標への対応、職務発明・委託開発、共有特許、譲渡とライセンスの違いを解説します。製品投入や共同開発の前に、権利者、利用範囲、処分権限を明確にするためのテーマです。 本コーナーは、旭時報 SUNRISE(寧旭メディア)が Startup Island TAIWAN のために企画・制作しています。 監修|日本法務:法律事務所 ZeLo 日本税務:税理士法人ZeLo 台湾法務:中銀法律事務所 台湾財務:urCFO 本コーナーの内容は、2026 年 8 月時点の日本および台湾の法令に基づいています。その後の法改正は反映されていません。個別の案件については、専門家による個別の判断が必要です。

2. 知的財産権

当社には技術、ブランド、自社で書いたコード、プロダクトのデザインがあります。これらを日本に持ち込むとき、先に登録しなければ守れないのはどれで、登録しなくても守れるのはどれでしょうか。

この四つは、二つの類型に分かれます。技術、名称やロゴ、プロダクトのデザインは、登録して初めて権利になります。それぞれ特許権、商標権、意匠権です。自社で書いたコードは登録が不要で、創作した時点で著作権が発生します。 技術については、特許権のほかに、実用新案権による登録もあります。実用新案権は、物品の形・構造・組み合わせに関する「小さな発明」を保護するもので、中身について審査をしないため、権利になるまでの期間が短くなります。登録が不要なものは、コードのほかにもう一つあります。貴社が秘密として管理しているノウハウで、こちらは「営業秘密」として不正競争防止法によって保護されます。 もう二つ、あわせて押さえてください。一つ目は、台湾で取得した特許や商標を、日本がそのまま認めるわけではないという点です。原則としては属地主義のため、日本でも出願・登録が必要です。二つ目は、同じ対象が複数の権利の保護対象となることがあるという点です。自社で書いたコードは、主に「創作的表現」として著作権によって保護され、「発明」として認められれば、特許権によっても保護されます。どちらか一方を選ぶ必要はありません。

なぜ

登録が必要な権利について、所管官庁である特許庁は、どちらが先かを、出願書類が提出された日付で判断します。これが先願主義であり、先に出願した者が権利を取得します。「先に作った」「先に使った」という事実は、原則として誰が権利者になるかを左右しません。出願を先延ばしにすると、他者に先取りされるリスクがあります。 もっとも、一部の権利については、「先に作った」「先に使った」ことを理由とする主張や権利があります。他者が貴社のものを登録した場合には、その者が真の発明者ではないことを理由に、その登録を覆すことが考えられます。また、相手が出願する前から貴社が日本で同じことをしていた場合には、先使用権により、そのまま続けられることがあります。いずれも、最初から出願しておく場合より手間はかかりますが、検討に値する選択肢です。

どうする

1. 貴社が持っているものを並べ、一つずつ分類してください。技術、名称やロゴ、プロダクトのデザイン、コード、社外に出していないノウハウです。前の三つは「登録が必要」、後の二つは「登録が不要」に入ります。同じ対象が両方に当てはまる場合は、両方に入れて構いません。 2. 「登録が必要」に入れたものは、日本に進出する前に出願を済ませてください。技術が物品の形や構造に関する小さな改良であれば、実用新案権による登録のほうが早く済みます。 3. すでに作り、すでに日本で使っているものについて、まだ出願していない場合は、二つを確認してください。日本でどのくらいの期間使ってきたか。すでに他者が登録していないか。これを確認して初めて、出願を追加すべきか、相手の登録を覆すべきかが判断できます。日本での使用が先であれば、先使用権を主張できる場合があります。

事例

ケース:日本のいくつかの動画投稿コミュニティで、多くの投稿者が、ある動画ジャンルの名前を自由に使っていました。あるとき、コミュニティとは異なる個人がその名前を商標登録し、投稿者に対して使用料年間10万円を求めました。その名前を長く使ってきた投稿者たちは、以前からその名前を使っていたにもかかわらず、今後も自由に利用できるのか大きな不安を抱えることになりました。 この出来事はインターネット上で炎上し、激しい批判を受けて、その商標権者は権利を放棄する意向を表明しました。動画サイトの運営会社が起こした無効審判によって、最終的には動画のジャンルやカテゴリーのひとつを表すものであり識別力がないと判断され、その権利は最初からなかったことになりました。

商標の登録は出願の先後で決まるため、長く使ってきたことが、その名前が自社のものであることを意味するわけではありません。この事案は最終的に覆りましたが、その間、その名前を使ってきた一人ひとりが、今後も使い続けられるのかわからない状態に置かれました。
日本でエンジニアを雇いました。その方が書いたコードや生み出した発明は、当然に当社に帰属するのでしょうか。

コードと発明は、分けてお考えください。コードは、要件を満たす場合、書いた時点から会社のものになります。発明は違います。発明はまず生み出した本人に帰属し、会社は、あらかじめ規定や契約を定めておかなければ、特許を登録する権利を取得することができません。 前者を職務著作といいます。職務著作は、原則として従業員が作成した時から会社が「著作者」となり、会社に著作権が帰属します。後者を職務発明といいます。こちらは原則が逆で、従業員が「発明者」であり、特許を登録する権利も従業員が有します。 もっとも、契約や規定がない場合でも、会社が取得できるものが一つあります。その発明を実施する権利です。つまり、貴社ご自身がその発明を製品にすることはできますが、特許を登録する権利は従業員のもとに残ります。

なぜ

発明については、日本の法律上、会社は発明者に「相当の利益」を与える必要があります。この利益はお金に限りません。ストックオプション、留学のチャンス、昇進など、お金以外の経済上の利益も対価になり得ます。スタートアップでは、発明報奨金として多額の現金を払うことが難しいことがありますが、その場合でも、これらを組み合わせることができます。 リスクの大きさを実際に決めるのは、支払った金額そのものではなく、その金額をどのように決めたかです。紛争になったとき、裁判所は次の三つを見ます。基準を作るときに従業員と話し合ったか。作った基準を従業員に開示したか。個別の金額を決めるときに本人の意見を聞いたか。「相当の利益」の定めがない場合や、その決め方が不合理である場合は、紛争時に裁判所が決めた金額を支払うことになり、予想外に高額な金銭を支払わなければならないリスクがあります。青色LED事件がその例です。日本の会社で青色LEDを開発した技術者が、退職後に職務発明の対価を求め、一審は200億円の支払を命じ、二審は約8億4,300万円で和解しました(ただし、特許法改正前の事案)。

どうする

1. まず、二つを分けて置いてください。エンジニアが書いたコードは職務著作の枠組みで、会社が最初から著作者となります。エンジニアが生み出した発明は職務発明の枠組みで、会社が別途取得する必要があります。この二つは原則が逆ですので、まとめて考えることはできません。 2. 発明については、その方が入社する前に、職務発明の規程を定めておいてください。ポイントは三つです。一つ目は、あらかじめ定めること。発明が生まれてから追加することはできません。二つ目は、発明が生まれた時点から権利が会社に帰属すること、いわゆる原始帰属を明記すること。三つ目は、「職務発明」の意義や範囲を明確にし、何が当たり何が当たらないかを書き分けることです。規程には「相当の利益」の決め方もあわせて定めてください。特許庁がガイドライン(指針)を公表しており、実務上はこれに基づいて定めることでリスクを減らすことが多いです。 3. コードについては、コードを書いた方との間に、指揮命令・監督の関係があるかどうかをご確認ください。これは職務著作の要件のうち、最も欠けやすい点です。この判断では、業務形態、指揮監督の有無、対価の額及び支払方法等の事情が考慮されます。

日本のベンダーにシステム開発を委託し、契約書に「著作権は発注者に帰属する」と記載しました。これで当社は著作権を全部取得したことになるのでしょうか。

足りません。契約書に「著作権は発注者に帰属する」とだけ記載した場合、現行法上、著作権法27条と28条の権利は、いずれも受託者のもとに留保されたものと推定されます。 外部のベンダーやフリーランスに業務委託して開発した場合、作成された著作物の著作権は、まず作った本人に帰属します。費用を負担した貴社ではありません。会社が自動的に著作権を取得する職務著作は、雇用(指揮命令)の関係があることを前提とするものであり、外注や業務委託はこの要件を満たしません。 そのため、委託開発の契約書では、権利の帰属を明確に定めておく必要があります。著作権法27条は翻案権、つまり作り替える権利を、28条は二次的著作物の利用権を定めています。委託契約書にこの二つの条番号を明記しておくことで、その後の改版・二次開発・保守にあたって権利行使が制約されずに済みます。

なぜ

1. 著作権法は、この点について一つの推定を置いています。契約書に「著作権をすべて譲渡する」と記載していても、27条と28条が名指しされていなければ、これらの権利は譲渡から外れたものと推定されます。日本では、条番号を一つずつ挙げて契約書に記載することを「特掲」といいます。この推定はデフォルトであって例外ではありませんので、特掲していなければ、この二つの権利を譲渡したことにはなりません。 2. もう一つ、著作権とは分けて扱う必要があるものがあります。著作者人格権です。これは創作した本人にのみ認められる権利であり、日本法上、他者に譲渡することができません。そのため、「著作権をすべて譲渡する」という記載でこれを一緒に取得することはできず、契約書で相手方に行使しない旨を別途定めておく必要があります。この点も27条・28条と同様で、漏れていると、改版・二次開発・保守ができないことになります。

どうする

1. 手元の委託開発契約書を取り出し、譲渡条項に「著作権法27条」と「28条」という条番号が記載されているかをご確認ください。「著作権をすべて譲渡する」あるいは「著作権は委託者に帰属する」とだけ記載されている場合、この二つの権利は貴社に移っておりません。 2. 同じ契約書で、さらに二点をご確認ください。権利の移転時期が明確に定められていること。そして、相手方が著作者人格権を行使しないことを求める条項があること。コンテンツを作成する日本の業務委託契約書では、実務上しばしば「受託者は、本件成果物に関する著作権(著作権法第27条および第28条の権利を含む。)を引渡時に委託者に移転する。」と定めます。受託者が引渡しの時点で、成果物の著作権を委託者に移転し、その著作権には27条と28条の権利が含まれる、という意味です。 3. すでに締結済みで、記載が漏れている場合も、救済の余地がないわけではありません。この規定は推定ですので、反証によって覆すことができます。交渉の過程を示す客観的証拠、たとえばメールや仕様書をお集めください。実務上、裁判所は当事者の意思解釈や業界の慣行とあわせて判断しますので、反証が認められる可能性はあります。もっとも、次の契約書には特掲条項を入れておくことが安全です。

当社は日本の大企業と共同研究を行う予定で、特許は共有とすることを考えています。共有とした場合、相手方が単独で決められることは何で、当社の同意が必要になることは何でしょうか。当社は日本に工場を持っていませんが、その場合、利益を得られるのは相手方だけになってしまうのでしょうか。

共有だからといって、すべてについて相手方の同意が必要になるわけではありません。特許法73条は、特許権が共有に係る場合の行為を三つに分けて規律しています。 1. 相手方が発明を自己実施する場合、つまり自ら製品にして販売する場合には、他の共有者の同意は不要であり、支払いも不要です。 2. 相手方が自分の共有持ち分を譲渡する場合や、その持ち分に質権を設定する場合には、他の共有者の同意が必要です。 3. 相手方が第三者へライセンスする場合にも、他の共有者の同意が必要です。 逆に、貴社がこの三つを行う場合にも、同じ規律が適用されます。 したがって、日本での共同研究で特許を共有とする場合の本当のリスクは、事業運営上の身動きが取りにくくなることです。日本の大企業は、自分で量産・販売できるため、共有発明を自分で製品にして、同意も支払いもなく利益を上げられます。一方、貴社が日本に生産プラントを持っていない場合には、共有発明を自社で量産できず、日本国内の第三者に代わりに量産してもらうことになりますが、これは「第三者へのライセンス」となり、相手方の同意が必要です。そして、相手方が自分の市場を守るために同意を出さない場合には、相手方は自由に商売して儲けるのに、貴社は外部にライセンスできず、利益を上げることができないというリスクがあります。

なぜ

1. 共有のデフォルトは、生産能力を持たない側に不利に働きます。相手方は共有発明を自分で製品にして販売しても支払いは不要ですので、貴社が製品を作れない場合、このデフォルトからは何も得られません。日本の実務でこれを補う仕組みが不実施補償です。実施しない側とは、自ら発明を製品にして販売することをしない側を指します。企業間では、両社とも自分で実施できる企業同士で各自が自由に自己実施をして、互いに補償を払わない、というのが基本線です。もっとも、実施能力にはっきりした差があるときは、扱いが変わる可能性があります。日本で量産しない・できない立場の場合には、交渉の場で貴社を「実施しない側」と位置づけ、それを理由として補償を求めることになります。 2. 共有の関係の下でも、相手方の同意を待たずにできることがあります。特許権が侵害されたとき、まず相手方の同意を得なければ動けないのではないか、というご懸念があろうかと思います。日本法において、共有物を保存する行為については、各共有者が単独で行うことができるという考えがあります。保存とは、現状を維持し、共有物が損なわれないようにすることです。特許権の侵害に対する差止め等を、この「保存する行為」と捉えることができます。この考え方によれば、相手方が協力しない場合でも、貴社が単独で侵害者に対応することができます。

どうする

1. 共同研究の交渉では、まず特許を共有としない構成をご検討ください。契約上、特許権を「一方が単独で持ち、他方に(独占的)ライセンスを与える」という構成のほうが、権利義務が明確です。 2. 共有とせざるを得ない場合には、次の二点を契約で定めてください。 ⑴ 相手方が自己実施したときに、貴社が補償を受けられるようにしてください。実施を制限することは他の共有者に嫌がられる可能性がありますので、相手方には実施していただき、貴社は補償を受ける、という設計が現実的です。 ⑵ 貴社が第三者にライセンスすることについて、あらかじめ包括的な事前同意を得ておいてください。包括的とは、一度の同意で足り、ライセンスのたびに個別に同意を求める必要がない、という意味です。 3. 補償を交渉する際には、相手方が実施を予定している期間、地域、用途、実施製品、実施態様等を考慮したうえで、金額を算定してください。実務上の設計としては、他の共有者の自己実施に基づく売上に応じて継続的に払ってもらう対価(=ランニングロイヤルティ)があります。一括払いではなく、相手方の売上に応じて継続的に受け取る対価です。なお、具体的な手当ての手法は様々な形がありますので、「不実施補償」という名目に限らず、幅広く交渉してください。

日本の企業と提携の交渉をしています。知的財産の条項はどのように書けばよいでしょうか。「知的財産は双方に帰属し、双方が使用できる」と書けば足りますか。

まず、譲渡とするのかライセンスとするのかをお決めください。この二つは別の道です。「譲渡」は権利者の変更であり、権利はいずれか一方に完全に移ります。「ライセンス」は権利者は変わらず、使用許諾を与えるだけです。 本設問は、まず同一の知的財産について双方に権利がある場面を前提としています。どちらが譲り受けるかは、その技術がどちらにとってより重要かによります。貴社にとって重要な場合、たとえば、ある技術を自社の中核プロダクトに据えて、排他も対外ライセンスも自由にしたい場合には、契約書に、相手方から貴社へ当該技術の権利を移転する旨を明記し、貴社から相手方へライセンスを与えることになります。相手方にとって重要で、貴社は使用許諾をもらえれば足り、所有までは必要ないという場合には、逆に、貴社から相手方へ権利を移転し、貴社がライセンスを受けることになります。 権利がいずれか一方に集約された後、他方が使用するために受け取るのがライセンスです。日本では、ライセンスは独占の程度によって三つに分かれます。 1. 専用実施権は、相手方に最も独占的な権限を与えるものです。設定した範囲では、特許権者すら自分で実施できなくなります。つまり、自ら製品にして販売することができなくなります。設定の登録をしてはじめて効力が生じます。相手方が大きな投資をして、市場の独占と侵害の排除を必要とする場面に向きます。 2. 独占的通常実施権は、契約上で独占的な権利を与えるものです。専用実施権のように、登録の手間は不要です。ただし、契約は締結した当事者の間だけを拘束するもので、外部の侵害者を拘束することはできません。そのため、侵害者をやめさせる(差止)権限は専用実施権より弱いです。独占はほしいが、登録は避けたい、というときの中間解です。 3. 通常実施権は非独占で、複数の相手にライセンスしたり、自社実施も並行して残したり、相手方に分野限定のライセンスをしたりしたいときに使います。

なぜ

1. 契約書に「双方に帰属」や「使用できる」と書くことには、いずれもリスクがあります。「双方に帰属」と書くと、法的には権利の共有と評価され、自由に許諾ができないといったリスクがあります。「使用できる」は更に曖昧で、「譲渡」なのか「ライセンス」なのかも明確ではありません。その結果として、権利の行使にあたって制約が生じ、競合を締め出したい、第三者に独占ライセンスして現金化したいという場面でそれが不可能となるリスクがあります。 2. 契約書に明記するだけでは足りず、登録をしてはじめて意味を持つものがあります。これには二種類あります。 ⑴ 登録をしなければ、そもそも効力が生じないもの。特許権の移転と、専用実施権の設定は、登録をしなければ効力が生じません。 ⑵ 登録の有無が、第三者に対抗できるかどうかに影響するもの。特許権の通常実施権者と著作権の利用権は、第三者に登録なしで対抗できます。つまり、その権利が他人に移っても、受けたライセンスは新しい権利者に対してそのまま主張することができます。ただし、商標の通常使用権だけは、登録しないと第三者に対抗できません。

どうする

1. 契約書には、譲渡なのかライセンスなのかを明記してください。「双方に帰属」「使用できる」という書き方は避けてください。 2. 契約書の文言が固まりましたら、登録の要否をご確認ください。譲渡は移転の登録、専用実施権は設定の登録をしなければ、効力が生じません。 3. 再許諾(サブライセンス)の権利は、契約書に明記してください。「ライセンスを受けた=他人にも使わせられる」という直感は誤りで、明示しない限り再許諾権は付きません。通常実施権者は、許諾者の同意なく再許諾できません。専用実施権者も、特許権者の同意を得てはじめて通常実施権を許諾できます。著作権の利用権も、著作権者の承諾がない限り譲渡できません。

当社の製品がまもなく日本に進出します。台湾では特許と商標を既に出願済みですが、日本ではいつ出願すれば間に合いますか。また、社名やブランド名を先に他人に登録されてしまった場合、取り戻すことはできますか。

A:まず出願していただきたいのは商標で、しかも今すぐです。台湾で既に出願済みの特許と商標については、台湾で出願後一定期間以内に日本でも出願をした場合、台湾での出願の日付で優先権を主張することができます。 商標が最も急がれる理由は二つあります。冒認の被害が発生する可能性が高いことに加え、商標は先願主義が強いため、「早く出願する」ことが最も重要だからです。また、「日本市場の反応を見てからの出願」や、「有名になってから出願する」というタイミングでは遅いということになります。 万一、商標を冒認された場合でも、救済の手段がなくなるわけではありません。商標登録そのものを争う主な手続は二つあり、どちらによるかは、公報の発行日と登録の日によります。さらに、台湾において著名なブランドについては、別の手段が考えられます。

なぜ

1. 優先権は、「台湾では既に手を打ったが、日本ではまだ手を打っていない」という空白の期間に対応するものです。台湾で出願後一定期間以内に日本でも出願をした場合、台湾での出願の日付で優先権を主張することができます。特許及び商標のいずれについても主張することができます。 2. 商標を冒認された場合、二つの救済方法の分かれ目は、その登録を知らせる公報の発行日です。 ⑴ 公報の発行日から2か月以内であれば、登録異議申立てを行うことができます。 ⑵ この期間を過ぎた場合には、原則として登録の日から5年以内であれば、無効審判を請求することができます。 この二つの手続のほかに、台湾において著名なブランドについては、日本法においても「外国で著名+不正の目的」を理由に争うことができます。

どうする

1. 今すぐ日本で商標出願をしてください。日本市場の反応を見てからでも、有名になってからでも遅くなります。 2. 台湾で既に出願済みの特許と商標については、優先権を主張できる期間内にあるかどうかをご確認ください。期間内であれば、日本での出願の際に優先権を主張することで、台湾での出願の日付が基準となります。期間を過ぎている場合は、実際に日本で出願した日付によって先後が決まります。 3. 既に商標を冒認されている場合は、まずその登録を知らせる公報の発行日をご確認のうえ、どちらの手続によるかをお決めください。2か月以内であれば登録異議申立て、2か月を過ぎ、登録の日から5年以内であれば無効審判です。台湾において著名なブランドであれば、著名性を裏づける資料を併せてご準備ください。それがもう一つの手段の前提となります。

事例

事例:公道カート会社が「マリカー」という商標を登録し、これに対して任天堂が、登録異議申立てが失敗に終わった後に、著作権侵害及び不正競争防止法違反を理由に提訴しました。不正競争防止法に基づき、周知性又は著名性のある商品等表示として保護される可能性があるからです。他方で、日本に進出したばかりの台湾スタートアップについては、不正競争防止法上の保護の要件を満たすことは難しい場合もあります。

任天堂が不正競争防止法に基づく主張が可能だったのは、その名称が日本で既に広く知られていたからです。日本に進出したばかりの段階では、この条件はありません。したがって、実際に使えるのは時間です。他人より先に出願することです。